誇らしい気持ちがバンビをみたしました。
自分がおごそかな、重大なものに引き上げられたような気持ちでした。
そうだ、生きるのは難しく、危険がいっぱいだ。
どんなことが起こるかわからない。けれども習うのだ、なにもかものりこえていくために。
ゆっくりと、バンビは森の奥へ入っていきました。
(フェーリクス・ザルテン『バンビ 森の、ある一生の物語』より抜粋)
生きる”ということを真摯に読者に語りかけ、今なお古びることのない動物文学の名作『バンビ』が刊行されたのは1923年、今年で100周年です。
森に生まれたバンビは、さまざまな動物たちとふれあいながら、喜びや悲しみ、恋、恐怖、孤独の体験を通して成長していきます。
ときに動物たちの死を間近に見、生きることの厳しさを知るバンビ。
そして生きぬくための智恵と勇気を自らの行動をもって教え諭し、バンビを導く古老。
森の四季を通して描かれる命の物語を、イメージドリンクと合わせてご堪能くださいませ。
5月の文豪カクテル
フェーリクス・ザルテン『命の泉~バンビ~』
作者の故郷・ハンガリーで作られるパーリンカをベースに、初夏の訪れを知らせる西洋ニワトコの花とオレンジの風味、ミルクが調和した馨り豊かな一杯です。
5月の文豪モクテル
フェーリクス・ザルテン『森の恵~バンビ~』
ハーブと蜂蜜のジュレに緑馨る抹茶寒天、赤いベリーと食用花を浮かべ、エルダーフラワートニックでお召し上がりいただく森の恵みです。
カクテル・モクテルどちらも、バンビたちの寝床の森をイメージした木のプレートでご提供いたします。
去年の落ち葉を模した揚げパスタ、今年の若葉を思わせるベビーリーフ、蝶と小鳥を象ったチーズを、自家製ハーブドレッシングでお召し上がりください。
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それからしばらくたってよだかははっきりまなこをひらきました。
そして自分のからだがいま燐の火のような青い美しい光になって、しずかに燃えているのを見ました。
(宮沢賢治『よだかの星』より抜粋)
5月の文豪カクテル・モクテル
宮沢賢治「星に願いを〜よだかの星〜」
賢治の没年の翌年1934年に発表された『よだかの星』は、1921年ごろに執筆されたと考えられています。
容姿が醜いと疎外され居場所を失ったよだかは、命をかけて夜空を飛び続け、いつしか青白く燃え上がる「よだかの星」となり、今でも夜空で輝き続ける存在となる物語です。
凍えるように寒い空をどこまでも登って行くよだかが、カシオピア座の隣の星になるまでの軌跡をイメージしてモヒートをお作りしました。
グラスの淵には「燐の火のような青い美しい光」になったよだかと、隣に見えたカシオピア座に見立てた琥珀糖を飾りました。
アルコールは自家製ブルーベリーラム、ノンアルコールは自家製ブルーベリージャムを使用してお作りいたします。
夜空のようなグラデーションをかき混ぜてお召し上がりください。
『バンビ』『よだかの星』ともに、100年を経ても色褪せることなく、我々の心を惹きつけてやまない名作です。
ぜひ書籍とイメージドリンクをあわせてお楽しみくださいませ。
銀座の秘密図書室にて、5月も見目麗しいお飲み物と書籍をご用意して、みなさまのお越しを心よりお待ちしております。