美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。
今にもそれが、肩から頸、頸から顎、そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨であった。(江戸川乱歩\黒蜥蜴より抜粋)
『 ディアマン(Diamant) 〜江戸川乱歩 / 黒蜥蜴〜 』
(和梨と柚子のGimlet 〜ブルーマロウの花弁を添えて〜 )
10月の文豪カクテル第一弾は、日本のを代表する怪奇小説の巨星、江戸川乱歩。
探偵小説『黒蜥蜴』をオマージュしたカクテルは、和梨と和製クラフトジンのギムレット。
柚子や山椒の風味が漂うジン「季の美」にたっぷりの梨果汁、和三盆でほんのりと甘みを加え、仕上げに青柚子でさわやかに香りづけしました。
美貌の女怪盗が欲した高雅な宝石のような、研ぎ澄まされたカクテルです。
物語の舞台である昭和初期の日本の趣を感じる一杯。
こちらは10月末までの限定の味わいです。是非ご賞味くださいね!
十誡