コゼットにとっては、その日は感動の多い異様な一日であった。寂しい飲食店で買ったパンとチーズとを籬の影で食べたこともあった。
たびたび馬車を代えたり、しばらくは徒歩で行ったりした。彼女は少しも不平をこぼさなかった。けれどもだいぶ疲れていた。
歩きながらしだいに彼女が手を引っぱるようになるので、ジャン・ヴァルジャンもそれに気がついた。彼はコゼットを背中におぶった。
コゼットは人形のカトリーヌを手に持ったまま、頭をジャン・ヴァルジャンの肩につけて、そのまま眠ってしまった。
(Les Misérablesより抜粋)
11月の文豪カクテル第一弾
『 Cosette 〜ヴィクトル・ユーゴー / Les Misérables〜 』
(南瓜と紅茶のCocktail Potage 〜ブリオッシュ添え〜 )
11月の文豪カクテルは、幾度も舞台化・映画化されている不朽の名作「Les Misérables」。
フランスのロマン主義詩人、小説家のヴィクトル・ユーゴーによる作品です。
フランス革命後、市民の貧困が拡大する動乱の時代に生きたジャン・ヴァルジャンという男の半生を描いた物語。
パンを盗んだ罪で19年間投獄されていたジャン・ヴァルジャン。
行く先々で冷遇されていた彼を、とある教会の司祭が快く受け入れたにもかかわらず、司祭が大事にしていた銀の食器を盗んでしまう…というシーンから物語ははじまります。
司祭の慈悲深い施しにより心を入れ替えたヴァルジャンが出会った、「コゼット」という幼い娘。
コゼットに出会ったことによって、彼の心がはじめて愛情で満たされた瞬間が想起されるような、心と身体に柔らかく沁みてゆくイメージで創作しました。
小ぶりの銀食器に入った鮮やかなマスタードイエロー。
少女の名前を冠したカクテル「cosette」は、ふかしたかぼちゃをたっぷりと使用した、ポタージュのようなホットカクテルです。
カボチャのまったりとしたなめらかな食感と、紅茶リキュールの上品な香りが口の中一杯に広がり、飲み干す瞬間に感じるラム酒のアルコールが芯から身体を暖めます。
自家製のカボチャペーストをのせたあつあつのブリオッシュを銀のプレートに盛りつけてご提供。
寒いこの時期にぴったりの暖かな一杯です。
11月1日より提供開始です。是非ご賞味くださいね!
十誡