暮色を帯びた町はずれの踏切りと、小鳥のように声を挙げた三人の子供たちと、そうしてその上に乱落らんらくする鮮あざやかな蜜柑の色と――

すべては汽車の窓の外に、瞬またたく暇もなく通り過ぎた。が、私の心の上には、切ない程はっきりと、この光景が焼きつけられた。そうしてそこから、或得体の知れない朗ほがらかな心もちが湧わき上って来るのを意識した。

(芥川龍之介/蜜柑 より抜粋)

『 橙 〜芥川龍之介 / 蜜柑 〜』
(杏子と蜜柑の冬燗酒 〜ニッキと丁子を添えて〜 )

 

汽車の中での芥川の実体験をもとにした物語「蜜柑」。

芥川龍之介の短編の代表作のひとつです。

 

もの寂しげな冬景色の車窓から放り投げられた、あざやかな蜜柑の色彩。

たっぷりの蜜柑果汁と杏酒(アマレット)による杏の甘みが優しく絡み合います。

それと対比するように、木枯らしを連想させるニッキと丁子、ドライオレンジを添えてご提供いたします。

寒さでかじかむ身体に染み入るやさしい味わいのホットカクテルです。

こちらは年明け1月5日よりご提供開始です♪お楽しみに!

 

十誡